室蘭、変わりゆくこれから
故郷を感じながら写す旅 × Hasselblad X1D-50c X-Pan Format 室蘭を訪れました。北海道へは幾度も旅をしましたが、室蘭の地は初めてでした。 仕事とはいえ、興味深く、はやる気持ちを抑えながらその地に降り立ちました。今回は、Hasselblad X1D-50cと。そして、その機能にあるX-Panフォーマットで撮影に臨みました。 室蘭には、1796年の英国軍艦プロビデンス号来航の記念碑、1900年代初頭に英国企業の援助と投資で造られた赤レンガの工場、街を囲む海岸や崖など、私の故郷である英国を常に思い出させる風景が広がっていました。日本と英国を行き来しながら、気が付けば日本に住んで20年になりますが、この地は私に祖国の風景と心地よさを実感させてくれたのです。レンガ、漆喰、鋼鉄、崖、海、船など、故郷を思い出させてくれる新たな地となりました。 今まで使用してきた大半のカメラは大きく重たいもので、決して携帯性が高い機材とは言えませんでした。「ボディサイズなんか関係ありません。」とよく自分に言い聞かせていましたが、一眼レフタイプのH4Dや、503CWの画質の高さは機動性を求められる撮影では苦戦しました。しかし、X1D-50cはそれらの問題を解決してくれました。中判カメラが誇る高画質、ハッセルブラッドの素晴らしい色表現が、こんなにもコンパクトなボディに収められ、さらにはクライアントの要望にも答えてくれました。(クライアントは撮影機材や荷物を最小限に抑えてほしいようです。) ある日、X1D-50cのX-Panフォーマットで撮影した作品を番組のディレクターに見せたところ、彼はすごく喜んでくれました。全ての作品が映画のような雰囲気を醸成していたからです。さらに、X-Panの2.7:1のアスペクト比は、撮影した作品をテレビ番組で表示する際、16:9のアスペクト比に美しく収まるのです。私は、ちょっとした遊び心で撮影した写真が良い作品を作ると信じています。 X1D-50cは、高いデザイン性、高性能かつ豊富なレンズライアップに加え、様々なアスペクト比(スクエア、6:7、6:12、4:3、16:9、X-Pan)で撮影ができます。ハッセルブラッド専用の現像ソフトであるPhocusでファイルを開くと、撮影時のアスペクト比で表示されますが、RAWで展開するとカメラのフルフレームクロップに戻るオプションもあります。Phocus上の後処理でクロップできるのに、なぜわざわざX-Panのアスペクトを意識して撮影するのか。 それは、フォトグラファーはそれぞれ自分の撮影スタイルを持っていると思いますが、私はできる限りワークフローをカメラ内で完結すると事を意識しているからです。ホワイトバランスから、露出、アスペクトの想定まで、シャッターを押す前に脳内で演算し、目の前の世界をシャッターで切り取ります。フォトグラファーの目線、ファインダーを通していかに被写体と繋がり、最適な構図で撮影するかが需要であると考えています。 X1D-50cでの撮影は初めてではありませんでしたが、ほぼ片手で撮影ができる事は、X1D-50cがデザイン性にも優れている事を証明しています。今回の撮影では、ロケ地が吊り橋の塔上という場面もあり、常に何かに掴まらなければならず、片手だけで撮影したとき、改めてX1D-50cを選んでよかったと思った瞬間でした。 また今回は新しく登場したXCD135mmレンズと1.7xテレコンバーターで撮影を試みました。私は、Hシステムの用のHC300mmレンズの大ファンですが、それとほぼ同じ望遠で撮影することが出来ました。旅での撮影は、食べ物、人、風景、ストリートと様々な被写体を撮るため柔軟性が求められます。XCD135mmを単体で使うと、非常にシャープでありながら美しいボケを備えたポートレートを撮影することができ、1.7xテレコンバーターを付けると、望遠圧縮効果による印象的な風景が撮影できます。作品の中にある夕日をバックにした遠くの船の写真は、XCD135mmと1.7xテレコンバーターを組み合わせたものです。驚くほどシャープでありながら理想的な望遠の画角です。しかもレンズは重すぎず、最高のバランスを備えています。これは、XCDレンズ群に新たに加わった素晴らしいレンズと言えます。 ここに掲載された作品は、室蘭で撮影した写真の中からハッセルブラッド・ジャパンによって選ばれたものです。この機会にハッセルブラッド・ジャパンチームの皆さんの継続的なサポートに感謝します。 「Journeys...